税理士として開業する際、事務所選びは重要です。
従来は賃貸オフィスを借りるのが一般的でしたが、近年はレンタルオフィスという選択肢も注目されています。
レンタルオフィスは初期費用を抑えられるだけでなく、すぐに業務を開始できるのがメリットです。
一方で、税理士などの専門職には特有の事務所要件があり、すべてのレンタルオフィスで開業できるわけではありません。
本記事では、税理士がレンタルオフィスで開業できるのか、その条件やメリット、注意点について詳しく解説します。
これから税理士として独立開業を考えている方や、現在の事務所からの移転を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
【結論】税理士はレンタルオフィスで開業できる

結論、税理士はレンタルオフィスで開業できます。
一般的なレンタルオフィスでは個室を利用でき、税理士の事務所要件を満たせるからです。
税理士法では、税理士は「税理士業務を行うための事務所」を設けなければならないと規定されています。
また事務所については、税理士会などに届け出る連絡先に記載するなど、客観的に事務所であることがわかるよう示さなければなりません。
レンタルオフィスの個室タイプであれば、固定の執務スペースとして利用でき、「外部に対する事務所表示」も可能です。
さらにレンタルオフィスは、会議室などの共有スペースも利用できるため、クライアントとの面談にも対応できます。
ただし、レンタルオフィスによっては完全個室ではないこともあるため、注意が必要です。
契約前に、事務所要件を満たすかを必ず確認しましょう。
税理士が開業するときの主な事務所条件4つ

すでにお伝えしたとおり、税理士が開業する際には、事務所の条件があります。
この条件を満たさないと、税理士業務を行えない可能性があるため、レンタルオフィスを選ぶ際にも要注意です。
事務所条件には、主に以下の4つが挙げられます。
- 固定の執務スペースがあること
- 日常的に執務可能な環境であること
- 必要な設備が整備されていること
- 打ち合わせや来客対応ができること
それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。
条件1.固定の執務スペースがあること
税理士事務所の条件の1つ目は、固定の執務スペースがあることです。
税理士法では、税理士業務を行うための「本拠」となる場所が必要とされています。
この「本拠」とは、税理士が継続的に業務を行う固定の場所のことです。
例えば、フリーアドレス制のコワーキングスペースは固定の場所とはいえないため、この条件を満たさないことになります。
税理士業務では、顧客の機密情報を扱うことが多く、セキュリティの観点からも固定の執務スペースが必須です。
また、税務署や顧客との連絡先として明確な場所を示す必要もあります。
条件2.日常的に執務可能な環境であること
2つ目の条件は、日常的に執務可能な環境であることです。
税理士業務は継続的に行われるものであり、一時的な利用ではなく、常に業務を行える環境が必要です。
賃貸オフィスやレンタルオフィスのように、月単位や年単位の契約によって日常的に執務できる環境が求められます。
例えば、時間単位で借りるタイプの会議室や、日単位で利用するドロップイン型のスペースでは、この条件を満たせない場合が多いでしょう。
税理士は顧客からの急な相談や問い合わせに対応するため、いつでも業務を行える環境が整っていることが重要です。
税務調査などの際にも、日常的に業務を行っている場所として示せなければなりません。
条件3.必要な設備が整備されていること
3つ目の条件は、必要な設備が整備されていることです。
税理士業務を行うためには、基本的な設備が整っている必要があります。
業務に必要な机や椅子はもちろん、パソコンやプリンター、スキャナーなどのOA機器も必要です。
このほか、書類を保管するためのキャビネットや、顧客情報を守るためのセキュリティ設備もいるでしょう。
最近では電子申告が一般的になっているため、安定したインターネット環境も必須です。
レンタルオフィスを選ぶ際には、この設備が整っているか、または持ち込みが可能かを確認しましょう。
条件4.打ち合わせや来客対応ができること
4つ目の条件は、打ち合わせや来客対応ができることです。
税理士業務では、顧客との面談や打ち合わせを頻繁に行います。
そのため、個室オフィスに加えて、会議室や面談スペースなどの来客対応ができる場所が必要です。
レンタルオフィスの多くは共有の会議室を備えていますが、利用は予約制であったり、追加料金が発生したりする場合もあります。
レンタルオフィスで税理士業務を行う際には、会議室などの利用方法も確認しておきましょう。
税理士がレンタルオフィスで開業する8つのメリット

税理士がレンタルオフィスで開業するメリットは数多くあります。
- 初期費用を抑えられる
- 好立地にオフィスを構えられる
- 信頼性を高められる
- すぐに業務を始められる
- 法人登記できる
- 会議室や共有スペースが利用できる
- 業務サポートサービスが利用できる
- 人脈形成につながる
8つのメリットを詳しく見ていきましょう。
メリット1.初期費用を抑えられる
税理士がレンタルオフィスで開業するメリットの1つは、初期費用を抑えられることです。
一般的な賃貸オフィスを借りる場合、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用がかかります。
これに対してレンタルオフィスでは、敷金や礼金が不要な場合が多く、初期費用を抑えることが可能です。
内装工事や家具・OA機器の購入費用も抑えられるため、とくに開業資金が限られている場合に向いています。
独立したばかりの税理士にとって、初期費用の削減は事業の安定化のために重要です。
余裕のある資金計画で開業できれば、顧客獲得に集中できるでしょう。
メリット2.好立地にオフィスを構えられる
好立地にオフィスを構えられるのも、レンタルオフィスの大きなメリットです。
レンタルオフィスの多くは、駅近くやビジネス街など、アクセスの良い場所に立地しています。
通常、このような好立地に賃貸オフィスを借りようとすると、高額な賃料が必要となるため、開業したばかりの税理士には負担が大きいでしょう。
一方で、レンタルオフィスなら個室単位で利用できるため、好立地でも比較的リーズナブルな費用でオフィスを構えられます。
顧客にとっても訪問しやすい立地は、税理士業務において大きなアドバンテージです。
企業顧客を対象とする場合、オフィス街に事務所を構えることで、潜在顧客との接点も増えるでしょう。
メリット3.信頼性を高められる
レンタルオフィスを利用することで、税理士としての信頼性を高められるのも重要なメリットです。
好立地の洗練されたオフィスビルに事務所を構えることで、顧客に対して専門家としての信頼感を与えられます。
税理士は、顧客の財務情報や機密情報を扱う専門職であるため、信頼性の高さが業務獲得のためには大切です。
レンタルオフィスが入る高級感のあるオフィスビル、好立地な住所、受付サービスなどは税理士としての信頼性・専門性のアピールに役立つでしょう。
メリット4.すぐに業務を始められる
レンタルオフィスを利用すると、すぐに業務を始められるのもメリットです。
賃貸オフィスの場合、契約後も内装工事や家具の搬入、通信環境の整備などに時間がかかります。
実際に業務を開始するまでに、数週間から数か月を要することもあるでしょう。
一方、レンタルオフィスは基本的な設備が整った状態のため、契約後すぐに業務を開始できます。
確定申告時期など、繁忙期を控えた開業の場合、この「すぐに始められる」というメリットは大きいでしょう。
開業準備に時間を取られることなく、顧客獲得や業務の確立に集中できるのも、税理士にとって大きなメリットです。
このように、スムーズな開業は事業の安定化にもつながるでしょう。
メリット5.法人登記できる
法人登記できるのも、税理士がレンタルオフィスを利用する場合のメリットです。
多くのレンタルオフィスでは法人登記が可能で、税理士法人として開業する場合にも利用できます。
賃貸オフィスに比べて初期費用を抑えつつ、法人登記が行えるのはレンタルオフィスならではの利点です。
費用は、基本的に全額経費に計上できるため、節税効果も期待できます。
さらに、法人化することで社会的信用が高まるため、大手企業との取引もスムーズに行えるでしょう。
税理士としてのキャリアを長期的に考える場合、法人登記できるレンタルオフィスは有力な選択肢と言えます。
メリット6.会議室や共有スペースが利用できる
会議室や共有スペースが利用できるのも、レンタルオフィスの魅力です。
賃貸オフィスでは、会議スペースを設ける必要がありますが、レンタルオフィスの多くは共有の会議室を利用できます。
税理士業務では、顧客との面談や打ち合わせが頻繁に行われるため、会議室の確保は重要です。
個室オフィスが小さくても、必要に応じて広い会議室を利用できれば、効率的な空間活用が可能になるでしょう。
多くのレンタルオフィスには、リフレッシュスペースやラウンジなどの共有スペースも用意されています。
このスペースをうまく活用すれば、仕事のオンオフの切り替えがレンタルオフィス内で可能になり、業務効率向上にもつながるでしょう。
メリット7.業務サポートサービスが利用できる
業務サポートサービスが利用できるのも、税理士がレンタルオフィスを選ぶ大きなメリットです。
多くのレンタルオフィスでは、受付対応や秘書サービス、郵便物の受け取りなど、さまざまな業務サポートサービスを提供しています。
このサービスを利用することで、事務員を雇用するよりも費用を抑えながら、利便性を高められるでしょう。
コピー機やFAX、シュレッダーなどの事務機器も共有で利用できるため、設備投資の負担も軽減されます。
業務サポートサービスを上手く活用することで、税理士本来の業務に集中できるでしょう。
メリット8.人脈形成につながる
レンタルオフィスは人脈形成につながるのも大きな魅力です。
レンタルオフィスにはさまざまな業種の事業者が入居しており、共有スペースなどで交流できます。
この交流が、新たなビジネスチャンスや協業につながることも少なくありません。
税理士にとって、さまざまな業種の経営者と知り合える環境は、顧客獲得の機会にもなります。
同じ建物内に弁護士や社会保険労務士などの他の士業の方がいれば、相互紹介による業務拡大も期待できるでしょう。
税理士がレンタルオフィスに事務所を開設するときの注意点5つ

税理士がレンタルオフィスに事務所を開設する際には、以下の注意点があります。
- 税理士の事務所要件を満たすか
- 契約内容や料金が妥当か
- セキュリティ体制に問題はないか
- 立地に問題はないか
- ネットワーク環境が良好か
それぞれ詳しく見ていきましょう。
注意点1.税理士の事務所要件を満たすか
第一の注意点は、利用したいレンタルオフィスが税理士の事務所要件を満たすかどうかです。
税理士法では、税理士業務を行うための事務所を設けることが義務付けられており、その事務所は税理士業務の本拠となる場所である必要があります。
事前に利用したいレンタルオフィスを見学し、固定の執務スペースがあるか、プライバシーが確保されているか、来客対応が可能かなどを確認することが大切です。
パーテーションのみで区切られた半個室タイプや、フリーアドレス制のスペースでは、事務所要件を満たさない可能性があります。
利用者の中に税理士など士業関係者がいるかも、判断基準の1つです。
すでに税理士が利用しているレンタルオフィスであれば、事務所要件を満たしている可能性が高いでしょう。
注意点2.契約内容や料金が妥当か
契約内容や料金の妥当性も重要です。
レンタルオフィスの料金体系は施設によって大きく異なり、基本料金に含まれるサービスや追加料金の発生条件などもそれぞれ異なります。
立地や建物の建築年、設備の充実度などを踏まえて、同程度のオフィスの相場からかけ離れた料金設定になっていないか確認することが大切です。
また、契約期間や解約条件、更新料の有無なども事前に確認しておきましょう。
とくに注意したいのは、会議室やコピー機などの共有設備の利用料金です。
基本料金に含まれているのか、別途料金が発生するのか、また発生する場合はどの程度の金額になるのかを確認しておくことで、予想外の出費を防げるでしょう。
注意点3.セキュリティ体制に問題はないか
税理士は顧客の機密情報を多く扱うため、セキュリティ面のチェックも欠かせません。
レンタルオフィスを選ぶ際には、個室スペースに入るための施錠環境や、建物に入るときのセキュリティ体制、スタッフや警備員の配置状況などを確認することが重要です。
具体的には、個室の鍵は確実に管理されているか、建物のセキュリティカードは厳格に発行・管理されているか、防犯カメラは適切に設置されているかなどをチェックしましょう。
夜間や休日のセキュリティ体制も確認しておくと安心です。
税理士事務所は「事務所荒らし」の標的になりやすいとも言われています。
現金や重要書類を保管する場合は、セキュリティ体制の整ったレンタルオフィスを選ぶことが、リスク管理の観点からも重要です。
注意点4.立地に問題はないか
立地に問題がないかも重要なポイントです。
税理士事務所の立地は、自分自身の通勤のしやすさだけでなく、顧客がアクセスしやすいかも考えて選びましょう。
ビジネス街の中心地や駅近くなど、交通アクセスの良い場所を選ぶことで、顧客が来訪しやすい環境を整えられます。
法人顧客を対象とする場合は、オフィス街に近い立地が望ましいでしょう。
周辺環境においては、飲食店や銀行、郵便局などの施設が近くにあるか、治安は良好かなども確認します。
税理士として長期的に事業を展開していくために、立地選びは重要な要素です。
注意点5.ネットワーク環境が良好か
最後の注意点は、ネットワーク環境が良好かどうかです。
税理士業務では、e-Taxによる電子申告や、クラウド会計ソフトの利用など、インターネットを活用する場面が多くあります。
レンタルオフィスを選ぶ際には、インターネット回線の速度や安定性、Wi-Fi環境の整備状況などを確認しましょう。
確定申告期間中など、多くの税理士が同時にネットワークを利用する時期には、回線速度が低下する可能性もあります。
セキュリティ面でも、暗号化されたネットワークが提供されているか、個別のVPN接続が可能かなども確認しておくと安心です。
ネットワークが不安定だと業務に支障が生じるだけでなく、データ損失などのリスクも高まるため、十分に注意しましょう。
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まとめ
税理士はレンタルオフィスで開業できます。
しかし、固定の執務スペースがあること、日常的に執務可能な環境であること、必要な設備が整備されていること、打ち合わせや来客対応ができることなどの条件を満たさなければなりません。
それでも、税理士のレンタルオフィスでの開業には、以下のようなメリットがあります。
- 初期費用を抑えられる
- 好立地にオフィスを構えられる
- 信頼性を高められる
- すぐに業務を始められる
- 法人登記できる
- 会議室や共有スペースが利用できる
- 業務サポートサービスが利用できる
- 人脈形成につながる
税理士としてレンタルオフィスでの開業を検討されている方は、条件やメリット、注意点を踏まえた上で、自らのニーズに合ったレンタルオフィスを選ぶことが大切です。
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