法人設立を検討する際、多くの経営者や個人事業主が直面するのが「登記住所をどうするか」という問題です。
自宅を使うべきか、それとも専用のオフィスを借りるべきか。
コスト面や将来の事業拡大を考えると、悩ましい選択ですよね。
そのような中で注目されているのが「レンタルオフィスでの法人登記」という選択肢です。
初期費用を抑えながらも、ビジネスにふさわしい住所を持つことができるため、スタートアップ企業や少人数で事業を展開する方に人気があります。
しかし、「レンタルオフィスで本当に法人登記できるの?」「手続きはどうすればいい?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、レンタルオフィスでの法人登記について、その可否から具体的な手続き方法、注意点まで詳しく解説します。
【結論】レンタルオフィスで法人登記は可能

結論から申し上げると、レンタルオフィスで法人登記することは可能です。
現在、多くのレンタルオフィス事業者が法人登記サービスを提供しており、実際に多くの企業が活用しています。
法人登記とは、会社の商号(社名)や本店所在地、事業目的などを法務局に届け出る手続きのことです。
この「本店所在地」として、レンタルオフィスの住所を使用できます。
多くの場合、月額数千円程度の追加料金で法人登記サービスを利用できるため、初期費用を抑えたい起業家にとって魅力的な選択肢です。
ただし、すべてのレンタルオフィスで法人登記が可能というわけではありません。
レンタルオフィスによっては、法人登記サービスを提供していない場合や、追加料金が必要な場合もあります。
また、同じ住所ですでに同一商号の企業が登記している場合は、登記できません。
そのため、レンタルオフィスを選ぶ際には、法人登記サービスの有無や条件を事前に確認することが重要です。
レンタルオフィスで法人登記するメリット4つ

レンタルオフィスで法人登記するメリットは、以下の4つです。
- 初期費用を抑えられる
- 好立地の住所を利用できる
- 自宅の住所を公開せずに済む
- 節税効果も期待できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
メリット1.初期費用を抑えられる
レンタルオフィスで法人登記するメリットの1つ目は、初期費用を抑えられることです。
一般的な賃貸オフィスと比較して、レンタルオフィスは敷金・礼金などの初期費用がかかりません。
賃貸オフィスを借りようとすると、敷金・礼金で家賃の数か月分が必要になります。
さらに、内装工事や家具・OA機器の購入費用も発生するため、新規創業時の大きな負担です。
事業開始前に、数百万円の資金が必要になることも珍しくありません。
しかしレンタルオフィスなら、すでに必要な設備が整っているため、こうした初期投資を最小限に抑えられます。
創業資金に限りがあるスタートアップ企業や個人事業主にとって、レンタルオフィスでの法人登記はメリットの大きい選択肢です。
メリット2.好立地の住所を利用できる
レンタルオフィスで法人登記するメリットの2つ目は、好立地の住所を利用できることです。
多くのレンタルオフィスはビジネス街や駅近くなど、アクセスの良い場所に位置しています。
実際に東京都心や大阪・名古屋などの主要都市の一等地に自社オフィスを構えようとすると、家賃だけでも相当な負担になるでしょう。
しかし、レンタルオフィスを利用すれば、負担は抑えながら一等地の住所を法人登記に使用可能です。
好立地の住所に法人登記できれば、取引先や顧客に対する信頼性が高まります。
「〇〇区△△町」という住所表記だけで、企業のイメージや信頼性が左右されることも少なくありません。
企業イメージを重視する経営者にとって、好立地のレンタルオフィスで法人登記することは、コストパフォーマンスに優れた選択肢だと言えます。
メリット3.自宅の住所を公開せずに済む
レンタルオフィスで法人登記するメリットの3つ目は、自宅の住所を公開せずに済むことです。
法人登記した情報はだれでも閲覧できるため、プライバシー保護の観点から自宅住所の法人登記での使用は避けたほうが無難でしょう。
実際に法人登記すると、登記情報はインターネットで簡単に検索できます。
在宅ワークが増えている現代では、プライベートと仕事の境界を明確にしたいという需要は高まる一方です。
自宅で仕事をしていても、登記上の住所はレンタルオフィスにすることで、プライバシーを守りながらビジネスを展開できるでしょう。
個人事業主や少人数で運営する企業にとって、レンタルオフィスでの法人登記はプライバシー保護の観点からも大きなメリットがあると言えるのです。
メリット4.節税効果も期待できる
節税効果が期待できることも、レンタルオフィスで法人登記するメリットです。
レンタルオフィスの利用料は、基本的に全額経費として計上できます。
一方で、自宅で事業を行いながら法人登記する場合、家賃や光熱費は事業用と私用の按分が必要です。
この按分比率は税務調査の際に問題となることがあり、リスクを伴います。
レンタルオフィスを利用することで、明確に事業用の経費として計上できるため、税務上のリスクを軽減可能です。
税務面でのリスクを避けたい経営者にとって、レンタルオフィスでの法人登記は有力な選択肢と言えるでしょう。
レンタルオフィスでの法人登記が向いている企業3選

レンタルオフィスでの法人登記が向いているのは、以下のような企業です。
- スタートアップ企業
- 社員を増やす予定がない企業
- 賃貸オフィスを希望しない企業
当てはまるものがないか確認してみましょう。
(1)スタートアップ企業
スタートアップ企業は、レンタルオフィスでの法人登記に向いています。
創業時は資金が限られており、固定費を抑える必要があるからです。
レンタルオフィスなら初期費用を最小限に抑えつつ、ビジネスに適した住所で法人登記ができます。
また、スタートアップ期は事業の成長速度が予測しづらく、オフィススペースの需要も変動しやすいででしょう。
レンタルオフィスであれば、事業規模に合わせて柔軟に契約内容を変更できるため、将来の不確実性にも対応しやすくなります。
「創業資金を有効活用したい」「初期投資を抑えて事業に集中したい」というスタートアップ企業にとって、レンタルオフィスでの法人登記は理想的な選択肢です。
(2)社員を増やす予定がない企業
社員を増やす予定がない企業にも、レンタルオフィスでの法人登記はおすすめです。
少人数で事業を展開する場合、広いオフィススペースは必要なく、コストパフォーマンスを重視できます。
具体的には、数名程度の小規模企業なら、レンタルオフィスの個室やブースで十分な場合が多いでしょう。
フリーランスや専門職の方が法人化する場合も大きなオフィスは不要で、法人としての住所と最低限の作業スペースがあれば事業運営が可能です。
「一人または少人数で長期的に事業を続けたい」「無駄なコストをかけずに効率的に運営したい」。
このように、社員増加を予定していない企業にとって、レンタルオフィスでの法人登記は最適な選択肢と言えます。
(3)賃貸オフィスを希望しない企業
賃貸オフィスを希望しない企業にも、レンタルオフィスでの法人登記が向いています。
長期契約や内装工事が必要な賃貸オフィスは、初期費用の大きさがネックです。
また、自由度が高い反面、契約期間が長く、解約時の原状回復費用も発生します。
地価の上昇に伴い家賃が値上げされるリスクもあるでしょう。
都心部では、数年ごとの契約更新時に家賃が上昇することも珍しくありません。
レンタルオフィスなら、こうした長期的なリスクも避けられます。
「長期契約に縛られたくない」「内装工事や設備投資の負担を避けたい」など、賃貸オフィスのデメリットを避けたい企業にとって、レンタルオフィスでの法人登記は賢明な選択肢です。
レンタルオフィスでの法人登記手続きの方法【5ステップ】

レンタルオフィスで法人登記を行う方法は、以下の5ステップです。
- 法人登記が可能か確認する
- レンタルオフィスを契約する
- 費用・書類を準備する
- 法務局やオンラインで申請を行う
- 登記完了後にレンタルオフィスへ報告する
それぞれのステップを詳しく解説します。
ステップ1.法人登記が可能か確認する
まず、利用するレンタルオフィスで法人登記が可能か確認することです。
すべてのレンタルオフィスが法人登記サービスを提供しているわけではないことに加えて、サービス内容や料金体系も施設によって異なります。
そのため、利用を検討しているレンタルオフィスに直接問い合わせて確認することが重要です。
また、同じレンタルオフィス内に同一商号(社名)の企業がすでに登記している場合、法律上の制約から登記できないケースがあります。
確認を怠ると、契約後に法人登記ができないというトラブルになりかねません。
事前に「法人登記サービスの有無」「追加料金の有無」「同一商号の制限」などを確認しましょう。
ステップ2.レンタルオフィスを契約する
ステップ2では、実際にレンタルオフィスを契約しましょう。
法人登記が可能であることを確認したら、契約手続きを進めます。
この際、基本料金に加えて法人登記サービスの利用料がかかる場合が多いため、総額を確認しておきましょう。
契約時には、利用規約や契約期間、解約条件なども確認が必要です。
法人登記に関連して、登記完了後のレンタルオフィスへの報告義務や、登記証明書の提出が必要かも確認しておくと安心でしょう。
契約書や利用規約には、法人登記に関する制限事項が記載されていることもあります。
例えば「特定の業種は登記不可」といった条件がある場合もあるため、しっかり確認しましょう。
契約内容に問題がなければ、次のステップに進みます。
ステップ3.費用・書類を準備する
ステップ3は、法人登記に必要な費用と書類の準備です。
法人登記には、登録免許税や定款認証手数料などの費用がかかります。
株式会社の場合、登録免許税は資本金の0.7%(最低15万円)、合同会社の場合は6万円が一般的です。
必要書類としては、定款、登記申請書、印鑑届書、代表者の印鑑証明書などを準備します。
定款は公証役場での認証が必要で、電子定款にすれば認証手数料(5万円程度)を節約可能です。
費用や書類の準備には専門知識が必要なため、初めて法人設立する方は、行政書士や司法書士などの専門家に相談することも検討しましょう。
必要な費用と書類がそろったら、次のステップに進みます。
ステップ4.法務局やオンラインで申請を行う
ステップ4では、実際に法務局やオンラインで登記申請を行います。
オンライン申請の場合、電子証明書が必要ですが、24時間申請可能で手数料も安くなる点がメリットです。
申請時には、準備した書類一式と登録免許税の納付書を提出します。
書類に不備があると差し戻されるため、記入漏れや誤記がないよう注意しましょう。
住所は、レンタルオフィスの正確な表記(ビル名や部屋番号まで)を使用する点に気をつけます。
申請から登記完了までは通常1〜2週間程度かかるでしょう。
この間、法務局から問い合わせがある場合もあるため、すぐに対応できる用意が必要です。
ステップ5.登記完了後にレンタルオフィスへ報告する
登記が完了したら、必要に応じてレンタルオフィスへ報告します。
法務局からは登記完了の通知は送られてこないため、登記が完了したかを自分で確認することを覚えておきましょう。
具体的には、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して確認します。
多くのレンタルオフィスでは、法人登記完了後に登記事項証明書のコピーを提出するよう求められるでしょう。
契約者が実際に法人登記を完了したことを、レンタルオフィス側が確認するためです。
この段階で郵便物の受け取り方法や、来客対応のルールなど、レンタルオフィスの利用方法について再確認しておくと良いでしょう。
これで法人登記の手続きは完了し、新しい会社としての活動を本格化できます。
【レンタルオフィスで法人登記】知っておくべき4つの注意点

レンタルオフィスで法人登記する場合の注意点は、以下の4つです。
- 法人登記できないレンタルオフィスもある
- 口座開設や融資で不利になることがある
- 同一商号で登記できない場合がある
- 運営会社が廃業すると対応が必要
それぞれ詳しく解説します。
注意点1.法人登記できないレンタルオフィスもある
注意点の1つ目は、法人登記できないレンタルオフィスが存在することです。
中には、バーチャルオフィスとしてのサービスのみで、実際の法人登記には対応していない施設もあります。
選ぶ際に法人登記サービスの有無を確認しないと、契約後に「法人登記できません」と言われるトラブルになりかねません。
契約前には、必ず法人登記サービスの提供有無を確認しましょう。
なお、住居用マンションの一室をレンタルオフィスとして提供しているケースでは、建物の用途制限により法人登記ができないこともあります。
商業地域や業務地域にあるオフィスビル内のレンタルオフィスを選ぶことで、こうした問題は避けられるでしょう。
注意点2.口座開設や融資で不利になることがある
第2の注意点は、レンタルオフィスで法人登記すると、銀行口座開設や融資審査で不利になる可能性があることです。
金融機関によっては、レンタルオフィスの住所で登記された法人に対して、審査基準が厳しくなる場合があります。
融資を受ける予定がある場合、レンタルオフィスでの法人登記は慎重に行いましょう。
レンタルオフィスで法人登記を行って融資を受ける場合には、しっかりとした事業計画書や資金計画書を用意し、レンタルオフィスを選んだ合理的な理由(コスト削減など)を説明できるようにしておくことが効果的です。
信頼性の高いレンタルオフィスを選ぶことも、審査での印象を良くする一因となるでしょう。
注意点3.同一商号で登記できない場合がある
3つ目の注意点は、同一商号で登記できない場合があることです。
同じ住所に同じ商号(社名)の法人は登記できないという法的制限があります。
つまり、利用したいレンタルオフィスにすでに同じ社名の会社が登記をしていると、そこでは登記ができません。
確認を怠ると、社名を決めて契約した後に登記できないというトラブルにつながります。
このため、契約前に自社の商号と同じ会社がすでに登記していないか確認することが重要です。
なお、この問題は一般的な社名(「〇〇コンサルティング」など)を使用する場合に起こりやすいでしょう。
独創的な社名を選ぶか、複数のレンタルオフィスの候補を持っておくことで、このリスクを軽減できます。
注意点4.運営会社が廃業すると対応が必要
最後の注意点は、レンタルオフィスの運営会社が廃業した場合の対応についてです。
レンタルオフィス事業者が事業を終了すると、登記住所も使えなくなるため、別の住所への変更登記が必要になります。
このため、レンタルオフィス選びでは、運営会社の安定性や事業継続性のチェックが重要です。
新興の運営会社よりも、実績のある大手企業が運営するレンタルオフィスの方が安心でしょう。
なお、万が一に備えて、登記住所変更の手続きや費用について事前に理解しておくことも大切です。
契約書に運営終了時の対応(事前通知期間など)が記載されているかも、あわせて確認しておきましょう。
レンタルオフィスで法人登記をお考えなら「OFFiTs」をご検討ください
レンタルオフィスで法人登記をお考えなら、「OFFiTs(オフィッツ)」をぜひご検討ください。
OFFiTsは、どのようなワークスタイルにもちょうどフィットするシェアオフィスブランドとして、心地良さと過ごしやすさを追求しています。
OFFiTsでは、月額5,000円という手頃な価格で法人登記サービスをご利用可能です。
立地・規模・価格・機能・サービスのすべてにおいて”ちょうどいい”バランスを実現したOFFiTsは、スタートアップ企業から個人事業主の方まで、幅広いビジネスパーソンにご利用いただいています。
まずはお気軽にOFFiTsの無料見学にお越しください。
まとめ
レンタルオフィスでの法人登記は、スタートアップ企業や少人数で事業を展開する企業、賃貸オフィスを希望しない企業に適しています。
主なメリットは、初期費用の削減、好立地の住所利用、プライバシー保護、節税効果の4点です。
一方で、すべてのレンタルオフィスで法人登記が可能なわけではなく、同一商号の制限や金融機関の審査への影響など、いくつかの注意点もあります。
レンタルオフィスの法人登記は、メリット・デメリットの双方を踏まえて検討しましょう。
なお、レンタルオフィスで法人登記をお考えなら、立地・規模・価格・機能・サービスのバランスが取れたOFFiTsをぜひご検討ください。
OFFiTsには、ビジネスの成長をサポートする環境が整っています。
最適なレンタルオフィスを選び、効率的に法人登記を完了させることで、ビジネスの第一歩を力強く踏み出しましょう。