「オフィス移転をすることになったけれど、どんなコンセプトで進めればいいのか見当もつかない…」
「社員が働きやすいオフィスと、会社のブランドイメージ、どちらを優先すべきなんだろう?」
「考えた提案が、経営層を納得させられるほど説得力があるか心配だ…」
オフィス移転担当者なら、こんな悩みが頭を離れないのではないでしょうか。
オフィスコンセプトの設計は、単なる内装選びやレイアウト決めではなく、重要な経営判断の1つです。
きちんとしたコンセプトがあれば、社員のやる気や生産性が向上するだけでなく、採用活動を有利に進めたり、取引先からの信頼を得たりすることにもつながります。
反対に、明確なコンセプトがないまま進めてしまうと、社員の不満が募り、業務効率が下がるという事態も招きかねません。
さらに、将来的な事業拡大や働き方の変化に対応できなくなる可能性もあるでしょう。
この記事では、オフィスコンセプトがいかに重要かという点から、具体的な作成ステップ、注意すべき点、参考になる事例について、詳しく解説します。
オフィス移転を成功させたい方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
オフィスコンセプトとは?
オフィスコンセプトとは、会社の理念や目指す方向性を、オフィスのデザインに反映させるための指針です。
単に机や会議室の配置を決めるのではなく、「どんな働き方を実現したいのか」「社員にどんな体験をしてほしいのか」という明確な意図に基づいて作られる、非常に重要な方針と言えるでしょう。
たとえば「創造性を刺激する空間づくり」というコンセプトを掲げた場合、以下のようなデザインにつながります。
- 自由にアイデアを書き込めるホワイトボードの壁を設置する
- 気軽に話せるカフェスペースを作る
コンセプトがあることで、オフィス移転やレイアウト変更の際に、関係者全員が同じ目標に向かって進めるようになり、一貫性のある意思決定ができるのです。
また、家具の選び方や内装の色使いなど、細かい部分まで統一感のある空間を作ることが可能になるでしょう。
オフィスコンセプトとは、「理想の働き方」を実現するための道しるべであり、企業の文化や価値観を物理的な空間として表現する、重要な役割を担っているのです。
社員のモチベーション向上や生産性アップはもちろん、企業ブランドの強化にも繋がる大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。
なぜオフィスにコンセプトが必要なのか?
オフィスにおけるコンセプトは、企業の成長と発展に直結する、重要な戦略的要素です。
明確なコンセプトを持つことで、企業文化の確立から業績アップまで、様々な良い影響が期待できるでしょう。
- 企業のブランドイメージを来訪者に見せられる
- 社員の生産性が上がる
- 来訪者の企業に対する印象が良くなる
上記の3点について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
理由1.企業のブランドイメージを来訪者に見せられる
オフィスは、企業の価値観やブランドイメージを、来訪者に実際に見て感じてもらえる最も効果的な場所です。
来訪者が最初に足を踏み入れる空間だからこそ、そのデザインや雰囲気は、企業の印象を大きく左右するでしょう。
例えば、IT企業のサイバーエージェントは、クリエイティブな発想を生み出すために、オフィス内に「LIFULL HUB」という開放的なスペースを設けています。
壁一面のデジタルサイネージや最新のIT機器を置くことで、企業のイメージを視覚的に強くアピールしているのです。
また、会社のテーマカラーやロゴを効果的にデザインに取り入れることは、ブランドの一貫性を示すだけでなく、来訪者の記憶に深く残ります。
このような視覚的なアプローチは、企業の信頼性や専門性を言葉を使わずに伝えることができる、非常に重要なコミュニケーションツールです。
理由2.社員の生産性が上がる
適切なオフィスコンセプトは、社員の働き方に直接的な影響を与え、生産性を高めます。
具体的な例として、グーグル日本法人のオフィスでは「集中するためのゾーン」と「チームで協力するためのゾーン」が明確に分けられています。
社員は、その時の目的に合わせて働く場所を選ぶことが可能です。
その結果、プロジェクトの完了までの時間が短縮され、チーム間のコミュニケーションも向上したという報告があります。
さらに、オフィスに適度な緑を取り入れる、自然光が入るように工夫する、室温や湿度を快適に保つといった環境面にも配慮することで、社員のストレスを減らし、モチベーションを高めることが可能です。
これらの要素が合わさることで、創造性が発揮されやすくなり、結果として業務効率の向上に繋がると考えられます。
理由3.来訪者の企業に対する印象が良くなる
戦略的にデザインされたオフィス空間は、企業の競争力を高める上で重要です。
特に採用活動においては、オフィスの印象が、応募者の入社意欲に大きく影響を与えます。
実際に、ある大手IT企業では、最新のオンライン会議システムを備えた、多様な働き方に対応できるオフィスを導入しました。
その結果「コロナ禍でも柔軟に働ける会社」というイメージが確立し、多くの人材からの応募が増えたようです。
また、取引先や投資家との商談においても、充実した会議室設備や洗練されたエントランスは、企業の成長性や安定性を印象づける大切な要素となります。
特に環境に配慮したオフィスデザインは、ESG投資の観点からも高く評価され、企業価値の向上に貢献するでしょう。
オフィスコンセプト作成における5つのステップ
オフィスコンセプトの作成は、単にオフィスを綺麗にするだけでなく、企業の成長戦略に深く関わる重要な取り組みです。
以下の5つのステップを踏むことで、企業の理念を反映しつつ、社員が最大限に力を発揮できるオフィス環境が実現できます。
- 現状の課題を洗い出す
- 体現したい会社らしさ・経営理念の再確認
- 目指す働き方を定義する
- ステップ1~3を踏まえてキーワードを作る
- レイアウト・デザインへの落とし込み
一つずつ詳しく見ていきます。
ステップ1.現状の課題を洗い出す
効果的なオフィスコンセプトを作るためには、現状のオフィスが抱える問題点をはっきりさせることが必要です。
そのために、社員アンケートや部署ごとのヒアリングを行い、具体的な不満や改善してほしい点を集めます。
例えば「会議室がいつも足りない」「部署間の距離が離れていて、コミュニケーションが取りにくい」「集中して作業できる場所がない」といった意見を、もれなく拾い上げることが大切です。
これらの課題を「スペース効率」「コミュニケーション」「働きやすさ」といった項目に分類し、重要度の高いものから順に整理していきます。
特に、経営に大きな影響を与えている問題や、多くの社員が共通して感じている不満は、優先順位を高く設定しましょう。
この段階で課題を明確にしておくことで、後のデザイン検討において、具体的な解決策を見つけやすくなります。
ステップ2.体現したい会社らしさ・経営理念の再確認
このステップでは、改めて自社の経営理念やミッション、ビジョンを見つめ直し、空間デザインに反映すべき要素を洗い出します。
例えば「革新性」を重視する企業であれば、従来の固定された席にとらわれない、自由な席配置の導入など例として考えられます。
また、企業のブランドを象徴する色やロゴなども、オフィスデザインに取り入れるべき重要な要素です。
これらを効果的に使うことで、社員の会社への愛着を深め、来訪者に対しても強い印象を与えられます。
経営理念の再確認は、単なる理想を語るだけでなく、具体的なデザインにどう落とし込むかを考えながら行うことが大切です。
ステップ3.目指す働き方を定義する
次に、組織としてどのような働き方を目指すのかを具体的に定義します。
これからのオフィスに求められる役割は、単に「仕事をする場所」にとどまりません。
例えば「創造的なアイデアが生まれやすい環境」「チームワークを発揮できる空間」「仕事とプライベートのバランスが取りやすい設備」など、多様な働き方に対応できることが大事です。
集中して作業したい時のための個室、気軽に意見交換ができるオープンスペース、リモートワークをする社員ともスムーズに連携できるIT環境など、様々な働き方をサポートする機能を検討しましょう。
これらの要素をバランス良く取り入れることで、社員一人ひとりが最も力を発揮できるオフィスが実現します。
ステップ4.ステップ1~3を踏まえてキーワードを作る
ここまでの検討内容を、具体的なデザインの方向性を示す言葉に落とし込みます。
これらのキーワードは、デザイナーやコンサルタントと話し合う際の共通言語として役立つでしょう。
例えば「柔軟性」「連携」「持続可能性」といったキーワードが考えられます。
キーワードを選ぶ際には、抽象的な表現は避け、具体的なデザインに繋げやすい言葉を選びましょう。
また、キーワードの数を3~5個程度に絞ることで、コンセプトのブレを防ぎます。
選んだキーワードは社内で共有し、全員が同じ目標を持ってプロジェクトを進められるようにすることが重要です。
ステップ5.レイアウト・デザインへの落とし込み
最後のステップでは、これまでの検討内容を具体的なオフィスのデザインにしていきます。
コンセプトに合った色の選び方、家具の選定、人の動きを考えた配置などを決めていきましょう。
この時、予算や技術的な制約も考慮しつつ、特に重要な要素から実現可能な形にしていきます。
特に大切なのは、デザインに一貫性を持たせることです。
オフィスの入り口から執務スペース、会議室まで、設定したコンセプトが空間全体で感じられるように意識しましょう。
また、将来的な組織変更や働き方の変化にも対応できるように、レイアウトを簡単に変えられるような工夫も必要です。
完成後のオフィスの使い方まで見据えて計画を立てることで、長く活用できる理想的なオフィス環境を整えられるでしょう。
オフィスコンセプトを作るうえでの3つの注意点
オフィスコンセプトを決めることは、会社の未来を左右する重要な決断です。
もしコンセプトの方向性を間違えてしまうと、社員が働きにくくなるだけでなく、会社のイメージ悪化にもつながりかねません。
以下の3つの注意点を押さえることで、より良いオフィスコンセプトを作ることができるでしょう。
- コンセプトを具体的に設定する
- 社員の意見を反映したコンセプトにする
- 長期的な視点を持って決める
それぞれ詳しく見ていきます。
注意点1.コンセプトを具体的に設定する
あいまいなコンセプトでは、実際の設計や運用の段階で、関係者の間でイメージのずれが生じやすくなります。
そのため、できるだけ具体的なコンセプトを設定しましょう。
例えば「部署間のコミュニケーションを活発にするために、固定席ではなく自由に席を選べるようにする」「質の高い成果を生み出すために、集中して作業できる個室を設ける」などが挙げられます。
具体的な目標とそれを実現するための手段を明確にすることが重要です。
また、何が重要なのか優先順位をはっきりさせておくことで、限られた予算やスペースを効果的に使えます。
コンセプトが具体的であればあるほど、設計会社やインテリアデザイナーとの意思疎通がスムーズになり、理想のオフィス空間を実現しやすくなるでしょう。
注意点2.社員の意見を反映したコンセプトにする
経営層が考える理想だけを追求したオフィスは、実際にそこで働く社員のニーズと大きくかけ離れてしまうことがあります。
アンケートやヒアリングを通じて、それぞれの部署や職種の社員がどのような課題を感じているのか、要望を持っているのかを丁寧に聞き取りましょう。
例えば、営業部門からは商談スペースがもっと欲しいという意見が出たり、開発部門からは静かな作業環境が欲しいという要望が出たりと、部署によって異なるニーズが考えられます。
これらの意見をきちんとコンセプトに反映させることで、社員の満足度が高まり、業務効率の向上にも繋がるオフィス空間が実現可能です。
社員の意見を取り入れることで、新しいオフィスへの移行もスムーズに進められるでしょう。
注意点3.長期的な視点を持って決める
オフィスコンセプトを決める際には、今の課題を解決することだけでなく、5年後、10年後の会社を見据えて考える必要があります。
例えば、今後の事業拡大によって社員が増えることや、技術の進歩によって働き方が変わる可能性があることなどを考慮し、将来起こりうる変化に柔軟に対応できるような設計を心がけましょう。
具体的には、固定されたレイアウトにするのではなく、移動可能な家具や間仕切りを活用するなど、空間の用途を簡単に変えられるような設計が考えられます。
これにより、将来的なニーズ変化にも容易に対応できるでしょう。
さまざまなオフィスコンセプトを反映した事例紹介
オフィスコンセプトを具体的に形にした成功事例を見ることで、効果的なオフィス作りのヒントが見つけられるでしょう。
ここでは、特徴的なコンセプトを持つ3社のオフィスをご紹介します。
- 内装にこだわったカフェ風オフィス「株式会社Xtra」
- グリーンが豊かな自然志向のオフィス「株式会社サイバード」
- 場所ごとに気分や働き方を切り替えられる「株式会社コスモスモア」
それぞれ見ていきましょう。
事例1.内装にこだわったカフェ風オフィス「株式会社Xtra」
「西海岸のカフェ」をコンセプトにしたXtra社のオフィスは、リラックスした雰囲気で、多様な働き方を実現。
入り口には手作りの看板や会社の価値観を表すアートが飾られ、オープンスペースには大きなソファが置かれ、社員同士が気軽にコミュニケーションを取れるようになっています。
執務エリアでは、固定席を設けず自由に席を選べるようにしており、オフィス以外の場所で仕事をするリモートワークとの両立も可能です。
また「仕事以外の話をするための空間」をあえて設けるなど、メリハリのある働き方をサポートする工夫もされています。
社内イベントやポッドキャストの配信場所としても活用されており、従来のオフィスのイメージにとらわれない柔軟な使い方がされているオフィスと言えるでしょう。
事例2.グリーンが豊かな自然志向のオフィス「株式会社サイバード」
代官山にオフィスを構えるサイバード社は、本物の植物を贅沢に使ったエントランスが印象的です。
社員が手作りしたカフェテリア「Park CYBIRD」には、様々な形のテーブルや椅子が置かれており、その日の気分や目的に合わせて自由に選べるようになっています。
また、各フロアの内装は、社員が決められた予算内で自由にデザインできるという仕組みを取り入れ、実際に働く人の意見が反映されるようにしているのがポイントです。
さらに、ハロウィンの仮装イベントや、部署を越えてアイデアを出し合うイベントなどを積極的に開催し、創造的な職場環境を実現しています。
事例3.場所ごとに気分や働き方を切り替えられる「株式会社コスモスモア」
「SWITCH」というコンセプトのもと、フロアごとに異なる働き方を提案しているのが、コスモスモア社のオフィスです。
- 1階は、来客対応やちょっとした打ち合わせに使える「ひろがるスペース」
- 2階は、社員同士が活発に交流できる「にぎやかフロア」
- 3階は、静かな環境で集中して作業できる「ひらめきゾーン」
このように、それぞれのフロアの用途が明確なのが特徴です。
また、自社のオフィスデザイン事例をショールームのように見せる機能も持っており、実際に使ってみた感想を踏まえて提案ができる工夫もされています。
オフィス完成後も、利用状況に合わせて改善を重ねるという柔軟な運用で、理想的な働き方を追求できるオフィスです。
“仕事にちょうど良い”というコンセプトの「OFFiTs」もご検討ください
オフィスコンセプトを具体的に考える前に、理想的な働き方を実際に体験してみてはいかがでしょうか?
シェアオフィス「OFFiTs」は、短い期間から契約できるため、理想のオフィス作りの「お試し」として最適です。
五感を意識した空間デザインにより、集中力を高めるのに最適な「緑視率」や「BGM」を実現しています。
さらに、空間の香りや椅子の座り心地まで、細部にまでこだわった設計で、働く人の快適さを追求するヒントが得られるでしょう。
共用のラウンジや個室オフィスなど、その日の気分や仕事内容に合わせて、働く場所を自由に選ぶこともできます。
また、挽きたてのコーヒーが飲めるコーヒーメーカーや給茶器、電子レンジなども完備しており、リラックスと集中を切り替えながら働くことが可能です。
まずは1ヶ月から、試しに利用してみてはいかがでしょうか。
理想のオフィスコンセプトを見つけるために、ぜひOFFiTsで快適な働き方を体験してみてください。
まとめ
オフィスコンセプトは、単なる内装のデザインを決めるものではなく、会社の成長を実現するための重要な要素です。
適切なコンセプトを設計することで、社員の生産性向上、会社のブランドイメージの強化、採用活動が有利になるなど、様々な良い効果が期待できます。
オフィスコンセプトを成功させるためには、以下の点を意識して進めることが大切です。
- 現状の課題を徹底的に分析し、何が重要なのか優先順位をつける
- 経営層の考えだけでなく、実際に働く社員のニーズとのバランスを考える
- 具体的で、効果を測ることができる目標を設定する
- 将来的な会社の成長や変化に対応できる柔軟性を持たせる
- 必要に応じて専門家の意見を聞きながら、段階的に実現していく
オフィスコンセプトの良し悪しは、会社の競争力に直接影響します。
社員の声にしっかりと耳を傾けながら会社の理念を反映させ、将来を見据えた柔軟な設計を心がけることで、理想的な働く場所を実現できるでしょう。
あなたの会社にぴったりなオフィスコンセプト作りを始めてみましょう。